バイブレーション
最近新しい月9で織田裕二と鈴木保奈美が久しぶりに共演するということで話題になっていますね。
この2人といえば、みなさんご存知『東京ラブストーリー』。
ということで、このドラマも再放送されてちょっと話題になりました。僕もドンピシャの世代ではないのですが、もちろん観たことはあって、鈴木保奈美演じるリカの「カーンチ、セックスしよ!」の名台詞には子どもながらに衝撃を受けました。まるで「キックベースしよ!」ぐらいの軽い勢いだったので、「大人ってこんなにオープンなんだ。大人ってすげー!」と畏怖の念とワクワク感に似たような感情を抱きました。たぶん『セックス』というワードをあんなにありありと耳にしたのはあれが初めてだったでしょう。
ですが、もちろんその後あんな風に夜のお誘いをしてくれた女性に出会ったことはありません。当時大人だった人とかは真似してたのかなーと思うと少し羨ましくもあり。
前置きが長くなってしまいましたが、そんないわゆるトレンディドラマの盛り上げに一役買っていたのがそれぞれドラマの主題歌ですよね。
先の『東京ラブストーリー』であれば、小田和正の『ラブストーリーは突然に』で、『ラブジェネレーション』であれば、大滝詠一の『幸せな結末』等など。こういった曲が絶妙なタイミングで流れてきて、視聴者はグッとドラマの中に引き込まれてしまうんですよね。きっと頭の中で何度もリピートしていた人もいるのではないでしょうか。
そんな主題歌の中でも、特に僕のお気に入りは、久保田利伸の『LA・LA・LA LOVE SONG』です。超有名な『ロングバケーション』の主題歌です。年上女性と年下男性の恋ということで、今は割と普通ですが、そんな恋愛を描いた先駆者的な存在だと思います。
もちろんこの曲自体普通にいい曲なんですが、特に好きな部分があって、2番のサビの部分の
とめどなく楽しくて
やるせないほど切なくて
そんな朝に生まれる
僕なりの LOVE SONG
というところなんです。
これって恋愛の真髄を歌っていると思いませんか?
話は変わりますが、僕は昔からいつか死んじゃうってことを考えるとすごく怖くなることが多いんです。でもこれってけっこうな数の人が感じているんじゃないでしょうか。なんだか楽しいことがあってもいつか死んじゃうってこと考えると急に寂しくなったり。要は中二病ですね。
恋愛もきっとそうだと思うんです。
まさにこの久保田利伸の歌詞は恋愛におけるそういった楽しさと寂しさの共存をシンプルに歌っているなと感じます。
でもこの揺さぶりがあるから張り合いが生まれるんですよね。だからきっと久保田利伸も「そんな朝だからこそ僕なりの LOVE SONG が生まれる」と言っているんだと思います。
「終りがあるから今を楽しく生きるんだ!」とは先人たちが腐るほど言ってきた言葉だと思いますが、きっとそういうことなんだなと最近になってしみじみ思います。
そんなわけで、鈴木保奈美の話に戻すと、あんな満面の笑みとはおよそ結びつかない「セックスしよ!」というセリフ。でもその揺さぶりがあるから、あのシーンもきっと美しく見えるんですね。
ぜひ、今宵はそんなことを想像しながら久保田利伸『LA・LA・LA LOVE SONG』聴いてみてください。