Mikan_Starrの日記

主に自分の好きなものに関してぼやくブログです。特にビートルズ、文学関係が多いです。

家に帰りたくなる曲

みなさんはiPhoneなどで音楽を聴く時、どのように聴いているでしょうか?その日の気分に合わせてアーティストやアルバムを選んだりして聴いていると思うのですが、僕は基本ずっとシャッフルで聴いています。シャッフルで流して気分じゃないのはどんどん飛ばして、聴きたいのが流れた時は聴く。そんな感じです。なんだかそのほうが聴きたいもので悩んだりしないので、基本ずっとそうです。その日の一曲目とかにすごく好きな曲がたまたま来るととてもテンションが上がります。

 

シャッフルで聴いててふと思うのですが、なぜかシャッフルしてるはずなので、しょっちゅう流れてくる決まった曲ってないでしょうか?アップルのシャッフル機能について詳しくはわからないし、もしかしてそういう傾向って出ちゃうのかもしれないけれど、僕にはそういう曲があります。誇張じゃなく、本当に毎日一回は流れてきます。1万曲ぐらい他の曲があるにもかかわらず。でもなんだかここまで流れてくると運命感じちゃいます。今日は僕にとってのそんな曲のご紹介です。

 

それは、ビーチ・ボーイズの "Sloop John B" という曲です。この曲は、かの有名な映画『フォレスト・ガンプ』にも使われているので、知らず知らずのうちに聴いている人もたくさんいるかと思います。

 

すごく簡単にビーチ・ボーイズについて書くと、彼らはいわゆるサーフミュージックで有名になったアメリカのバンドです。いかにもカリフォルニアのビーチで流れてるような音楽をたくさん作ってとても人気になりました。時代としてはビートルズと同じくらいの時期に活躍していました。少し前には再結成みたいなこともしていたと思います。

 

"Sloop John B"に話を戻すと、これはそんな彼らのアルバムの一つ『ペット・サウンズ』というアルバムに収録されています。このアルバムは、今でこそ史上最高のロックアルバムとの評価を受けるぐらいになっていますが、当時の評価は基本的にボロクソでした。なぜなら、そこには大衆が求めているカリフォルニアの太陽を思い起こさせるような陽気な、ビーチボーイズにあってほしい姿がなかったからです。ミスチルが急に方向転換してメタルみたいな曲歌い出したらきっとみんな驚きますよね。ちょっとそんな感じです。

 

なぜそんな方向転換をしたかというと、ビーチボーイズの曲は、ブライアン・ウィルソンというメンバーが多くを手掛けてるのですが、このアルバムは実質彼のソロアルバムのようなものです。ここで僕の大好きなビートルズが出てくるのでが、彼はビートルズの『ラバー・ソウル』を聴いて、自分たちもこんなアルバムが作りたい!って思うんですね。ちなみに『ラバー・ソウル』は、ビートルズが芸術志向に走った転機となるアルバムと言われています。ビートルズも当初はアイドルのような扱いをされていました。ビーチボーイズも同じです。アーティスト志向の強いブライアン・ウィルソンは、自分たちも、大衆受けするような音楽ではなくて、純粋に芸術作品としての音楽を作りたいと思ったんですね。ですが、ビートルズビーチ・ボーイズの大きな違いは、他のメンバーとの方向性と、ブライアン・ウィルソンの性格でした。

 

ビートルズはみんなそれぞれ個性が強いといっても、アーティスト志向はみんな強いので、そこに関しては全員同じ方向を向いていました。一方で、ビーチ・ボーイズの場合は、他のメンバーもレコード会社も含めて、それまでの方向性を変えたくはなかったようで、当初このブライアン・ウィルソンの作った楽曲をかなり酷評したそうです。タイトルの『ペット・サウンズ』の由来に関しては諸説あるようですが、一説では、メンバーから「こんな曲犬にでも聴かせるつもりか!』と言われたので、そこから来ているという説があります。いずれにしても、このアルバム作りは、ブライアン・ウィルソンにとってはとてつもなく孤独な作業でした。

 

また、ブライアン・ウィルソンの性格についてということで、もちろん僕の推測でしかないのですが、ビートルズで言えば、ジョン・レノンポール・マッカートニーはものすごく個性があって、自分たちがやっていることに絶対的な自信があったんだと思います。だから、周りから仮に批判などがあっても、そんなの気にせず自分たちのやりたいことを進められたし、その自信から、周りを「あれ、じつはこれすごいのかも。」と納得させられるようなパワーも持っていました。ただ、ブライアン・ウィルソンの場合は、ある意味ではそこは繊細だったんだと思います。なんとか作りきって、このアルバムを世に出すことはできましたが、様々なストレスからこれを機に、彼はアルコールやドラッグ漬けとなり、精神状態を悪化させてしまいました。

 

と、全然本題の曲の話をせずに、ビーチ・ボーイズと『ペット・サウンズ』の話になってしまいましたが、ここまで聞くと、なんだかブライアン・ウィルソンってとっても人間らしくないですか?もちろん天才には違いないのですが、多分普通の人間って同じことが起こったら、ジョンやポールよりも彼のような気持ちになるんじゃないかなって思います。僕は、このアルバムを聴くたびに勝手にシンパシーを感じてます。ストレスが多いこの時代だからこそ、ブライアン・ウィルソンのすべてが詰まった『ペット・サウンズ』おすすめです!

 

話を曲に戻しますが、この "Sloop John B" はそんなアルバムに収録されています。ただ、今までの話の腰を折るようですが、実はこの曲は彼オリジナルの曲ではありません。元々はバハマ諸島の民謡で、それをアレンジしたらしいです。すごいところから持ってきたなって感じですね。バンドのギタリストのアル・ジャーディンに勧められてカバーすることにしたそうです。

 

歌詞の内容はというと、正直民謡ということもあってあんまり意味はわかりません。笑 ただ、なんとなく頼りない船乗りの歌というのはわかります。

 

We come on the sloop John B

My grandfather and me

Around Nassau town we did roam

Drinking all night

Got into a fight

Well I feel so broke up

I want to go home

ジョン・B号に乗り込んだ

おじいちゃんとふたりで

ナッソーの街を歩き回って

一晩を飲み明かして

喧嘩に巻き込まれて

すっかり打ちひしがれてしまった

家に帰りたいよ

 

So hoist up the John B’s sail

See how the mainsail sets

Call for the captain ashore

Let me go home

Let me go home

I wanna go home

Well I feel so broke up

I wanna go home

ジョン・B号の帆を上げて

メンスルの様子を眺めながら

岸に待つキャプテンに電話をかける

家に帰らせてください

家に帰らせてください

家に帰りたいよ

すっかり打ちひしがれてしまって

家に帰りたいよ

 

 

こんな感じです。

 

僕がこの曲をすごい好きなところは、歌詞を見てわかるように、とにかく『家に帰りたい』って言いまくってるところです。よっぽど家に帰りたいんだなって。けっこうポップな曲調の明るい曲調なんですけど、歌詞を見てみるとなんだかちょっぴり切ないですよね。

 

もちろんこれも、勝手な推測というか妄想ですが、当時のブライアン・ウィルソンの状況を考えながらこの曲を聴くと、余計にこの曲の切なさが増すなと思ってます。自分の好きなことをやりながらも、周りからは評価されない孤独な作業を続ける日々。きっとブライアン・ウィルソンも「早く家に帰りたいな。」って思ってた気がします。話によると、当時の奥さんだけは、このアルバムについて、「こんなに美しい曲たちは聴いたことがない。」って言ってくれたそうです。早く奥さんのいる家に帰りたかったんじゃないかな。

 

みなさんは家に帰りたい時ないですか?理由は様々だと思います。絶対ありますよね。僕もしょっちゅう思ってます。この曲を聴くと「あー早く家に帰りたい。」って余計に考えちゃいます。なので、最初に話を戻すと、出勤時に流れてきちゃったらある意味最悪ですね。でも帰りだと足早になるし、実家のことも思い出したりします。

 

家に帰りたくなることが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、「家に帰りたい!」って思えるのは、帰る家があるからこそですよね。そんなありがたみも感じれる、とても素敵で優しい曲です。さっきも言ったように、出勤時などにはあまりおすすめしませんが、ぜひこの曲を聴いて、みんなで家に帰りたくなりましょう!

 


The Beach Boys - Sloop John B Promo Film (Official Video)