Mikan_Starrの日記

主に自分の好きなものに関してぼやくブログです。特にビートルズ、文学関係が多いです。

現代人の孤独

生きていると色々なことに悩む。

人間関係やお金のことや家族のことなどなど。とにかく悩み続けるというのが人生なのかもしれない。

 

そんなときにどうやって悩みに向き合うのか、どんなものを通してその悩みを解決していくのかは人それぞれだ。

 

僕にとってはビートルズの曲もそういったものの一つだ。もちろん純粋に曲が良いというのも彼らの音楽を聴く理由の一つではあるが、悩んだりしているときにそっと寄り添ってくれる曲が多いのもビートルズの魅力の一つだ。

 

今回はそんなたくさんの曲の中でも特に好きな "Nowhere Man" について少し書きたいと思う。

 

「自分は何者なのか。」という哲学的な問いは、人生の大きなテーマの一つだろう。この "Nowhere Man" という曲はそんなテーマにも通ずる部分がある曲だ。ちなみに邦題は『ひとりぼっちのあいつ』直訳という感じではないけれど、この曲にとてもぴったりな邦題だと個人的には思っている。

 

曲の内容としては、簡単に要約してしまうと、"Nowhere Man"「どこにもいない人」が、自分がどこに向かっているかもわからず、どこでもない場所に座って、誰のためでもなくどこにもない計画を立てている。といったそんなことを歌っている。なんだかこれは、今の時代にも通ずるテーマを歌っているなと思う。いわゆる「現代人の孤独」というやつでしょうか。みんなすごく忙しそうに日々を過ごしている。仕事とか趣味とかその他いろいろ。でもそれって一体誰のためなの?って聞かれたときに、どれだけの人が即答できるだろうか。すごく周りはいろいろなものいん囲まれてるのに何となく孤独を感じるっていうのは誰でもある経験だと思う。この曲は、そんな人間の孤独感を歌った曲だと僕は思っている。ちなみにこの曲はジョンが作った曲なのだが、そんなテーマについて少し辛辣とも皮肉とも取れるようなかたちで歌っているのがとてもジョンらしいなと思う。

 

でも、この曲がそれだけで終わっていたら僕はそこまでこの曲を好きにならなかったと思う。この曲にはちゃんと救いがあるところが僕は好きなのだ。

 

Isn't he a bit like you and me?

そんな彼は僕や君に少し似ていないかい?

 

Nowhere man, the world is at your command.

ノーウェアマン、世界は君の思いのままだ。

 
Nowhere man, don't worry.
Take your time, don't hurry.
Leave it all till somebody else lends you a hand.
 
ノーウェアマン、心配は要らない。
ゆっくりしよう、急がなくていい。
誰かが手を貸してくれるまでそのままにしておこう。
 
Nowhere man に対して寂しいやつだな的な目線で歌っている感じがするんだけど、そんな彼に対して、上記のような救いのような言葉もしっかりかけているのだ。この辛辣さと優しさを行ったり来たりするところがジョンの大好きなところだ。
 
特に、「そんな彼は僕や君に少し似てないかい?」という歌詞はとても素敵だと思うし、個人的にも何度もこの歌詞に救われた。これは、孤独について歌っている歌の中で、「君は孤独じゃないんだよ。」と言ってくれている歌詞でもあるのだ。
 
この曲に関しては、どこか別の機会で書こうと思っている、ビートルズのアニメ映画 "Yellow Submarine" でもまた語りたいと思っている。なぜなら、その映画のBGMとして使われているこの曲がとにかく最高だからだ。
 
その映画の中でこの曲が使われる際、リンゴ・スターと映画の中のジェレミーというキャラ(この映画の中でのいわゆる Nowhere man)との間に僕の大好きなやりとりがある。
 
Ringo: Mr. Boob, you can come with us, if you like.
リンゴ:ミスター・ブーブ、もし良かったら僕たちと一緒に来てもいいよ。
 
Jeremy: You mean, you'd take a Nowhere man?
ジェレミー:「どこにもいない男」を連れていくっていうこと?
 
Ringo: Come on, we'll take you somewhere.
リンゴ:来なよ。僕らがどこかに連れて行ってあげるよ。