Mikan_Starrの日記

主に自分の好きなものに関してぼやくブログです。特にビートルズ、文学関係が多いです。

英国的バンド代表

最近、England is Mine という映画を観た。元々映画館で観たかったのだが、タイミングが合わず結局DVDで観ることになった。

 

この映画は、イギリスの80年代を代表するバンド The Smiths のフロントマンであるモリッシーを主人公にした話で、彼が The Smith を結成する直前までを描いた作品だ。

 

僕は The Smiths が大好きだ。すごく抽象的な言い方だけど、とてもイギリス的なバンドだと思っている。それはなぜかと言うと、僕の意見としては、音楽ももちろんそうなんだけど、やっぱりモリッシーが書く歌詞が一番の理由だ。もともと物書きを少ししていたっていうものあると思うのだが、彼の書く歌詞はとても詩的で皮肉っぽい。そこがとにかくイギリスっぽい。アメリカの音楽とかには絶対無い雰囲気だなと思う。もちろんアメリカの音楽を否定しているわけではなくて。国外ではあんまりヒットしなかったっていうのも、もしかしたらその雰囲気の裏付けの理由の一つになるかもしれない。

 

僕が The Smiths にハマったのは、実はそんなに昔じゃなくて大学院生の頃だ。当時のイギリス詩の先生が熱烈な The Smiths のファンだった。その人はイギリス人でとにかくイケメンでお洒落でピアスなんかしちゃったりしてむちゃくちゃかっこいい男性の講師だった。研究室の真ん中には The Smiths のレコードが飾ってあって、イギリス詩について熱弁する姿を当時僕はめちゃくちゃかっこいいなと羨望の眼差しで見ていた。

 

でも実はこの方とても悲しい過去があって、結婚してすぐに奥さんを病気で若くして亡くしていたのだ。本当に結婚してすぐに余命宣告があったらしく、当時は本当に人生が真っ暗になったらしい。それが原因でアルコール中毒になってしまって、ほとんど自暴自棄の生活を送っていたんだけど、新しい素敵な女性に出会って、その人に支えられて復活してなんとか今の状態まできたのだ。それが今の奥さん。本人も亡くした奥さんに捧げた詩集も出したりしていて、とにかく講師として本当に素晴らしい人で、仲良くなってこういう話を色々としてくれた。

 

その中で、いかに詩が自分を救ってくれたかや、今回の話に出ている The Smiths の話も出てきて、僕も興味を持ち始めて、それからハマったという次第だ。

 

もちろんモリッシーと友達じゃないので、実際の彼がどういう人間かは知らないけど、本や話から見たり聞いたりする情報や、彼が書いている詩を見ると、とてもセンシティブな人間なんだなと思う。映画もどこまで本当かはわからないけど、だいぶ変わった若者だったようだ。とにかく世の中を斜に構えて見ているというか。

 

ここで僕の好きな The Smiths の歌詞を一つ引用

 

And if a double-decker bus crashes into us
To die by your side is such a heavenly way to die
And if a ten-tonne truck kills the both of us
To die by your side
Well, the pleasure, the privilege is mine
もし二階建てバスが突っ込んで来ても
君と一緒に死ねるならそれはこの上ない死に方
もし10トントラックにひき殺されても
君のそばで死ねるなら
それは本望、光栄な事だよ
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

これは、The Smiths で一番有名といっても過言ではない There is a light that never goes out という曲からの引用だ。歌詞の内容もそうだが、heavenly way to die とか privilege is mine の言葉選びとか、破滅的なんだけどなんだか美しいというか。とにかくキュンとなる。

 

The Smiths の曲の共通点は、けっこう明るいメロディーにのせながら、けっこう深刻な悲しいことや過激なことを歌うことだ。

 

そんな The Smiths の魅力が詰まった僕の大好きな二曲を紹介したいと思う。

 

一曲目は  Girlfriend In A Coma という曲。日本語にすると、『昏睡状態の彼女』。昏睡状態に陥っていて、もうすぐ別れが近づいているという深刻な歌なんだけど、なぜかメロディーは陽気。

 

二曲目は Panic だ。ディスコのDJがつまらない曲ばっかりかけるから、ディスコを燃やしてDJを吊し上げろと言うけっこう過激な曲。だけどやっぱりメロディーは明るい。

 

最後に、いろいろと話をしたが、なんで The Smiths が好きかをまとめると、さっきも述べたが、やっぱりどこか斜に構えているところなのかな。僕もよく「お前、斜に構えて世の中見てるよな。」と言われることがあった。自分ではそんなつもりないんだけど、でも少し周りと距離を置いて、ちょっと世の中を傍観しているような偉そうな態度があったのかな。

 

ちなみに、The Smiths の曲はよく映画とかに使われているのだが、ほぼほぼ決まって The Smiths を愛聴しているキャラクターって、いわゆる「こじらせているやつ」が多いのは気のせいだろうか。

 

いずれにせよ、The Smiths の曲を聴いていると、「世の中を斜に構えて見ている代表」みたいな人が歌っている曲が、ここまで多くの人の心に響いていることに気付き、斜に構えて世の中を見ることで見える美しい景色もあるのだなと勇気をもらえるのである。

 


The Smiths - Girlfriend In A Coma (Official Music Video)

 


The Smiths - Panic (Official Music Video)